ついに来てしまった。
袖川第二トンネル。秋田の林道トンネルでは最長である。
正面からみてもトンネル内は真っ暗である。不気味な雰囲気が我々を襲う。
袖川方のトンネル正面。
トンネル上には小さいながらも直根林道第二隧道も文字が。626米(m)の文字も確認できる。mを米と書くあたり歴史を感じる。
出口の光は米粒のような小ささである。
抜けた先に異世界が広がっていないことを祈りつついざ入洞する。入口付近は鉄製の支保工でがっちりと支えられている。4m先からは岩盤へコンクリートが吹き付けられておりこちらも安心感はある。
そう思ったのつかの間、素掘りトンネルへと様変わりした。袖川方を振り返って撮影。
ライトをつけて探索。ライトがないと写真には何も写らない。天井を見上げると発電所から直根まで伸びる電線があった。ついでにライトもつけてくれればいいのに・・
中間地点には突然の空間が広がった。車両交換のできるスペースのようだ。幅は普通車二台がやっと程度の広さがある。おそらくこの部分は森林鉄道時代にはなく、林道に転用した際に拡張したのだろう。天井が木製の板で覆われていた。木材なので湿気で腐りどこかカビ臭さが充満していてこのトンネルで最高に気分の悪い場所だった。
長時間露光撮影。心霊写真です。と言って見せられても信じる出来である。
鉄道トンネルとしてできた証拠もあった。これは退避坑といい、トンネルに入った作業員が列車が来た際に退避する設備である。現代のトンネルでもよくある設備だ。袖川第二トンネルでは全部で9か所あったが、すべて写真のように朽ちていた。
湿気と経年劣化で木材が朽ちており、その間から岩が転げ落ちている、発電所がある限り秋田県はこのトンネルを見捨てはしないだろうが、大幅改修が入ってしまえばこの異様な雰囲気も過去のことになってしまうと思うとそれはそれで悲しい。
このトンネルにただでさえ財政の厳しい秋田の税金を充ててまで大規模修理するかというと、その答えはきっとNoだろう。
626mの暗闇世界から脱出。直根方の出口。こちらにはトンネルの名前はない。無骨な姿である。入っても良い場所なのか戸惑う姿である。
引きで見るともっとすごい。山のなかにポツンと口を開けて人々を待っている。
最後に一枚。秋田の山奥にこんなトンネルが生きているのか。いつまでも元気でいてくれ。
YouTubeにトンネルの全面展望を上げてます。もしよろしければこちらから。同川直根方から袖川へ抜けてます。
次回、直根の街へ
百宅→袖川第三トンネル→袖川→袖川第二トンネル→(続)